中国留学情報

vol.153 優先順位と転校の活用

前回のテーマは「目的と条件の明確化」でした。


留学の目的は確かに「語学習得」ではあるけれども、
さらに具体的に掘り下げて明確化すると違いが見えてくる。

そして目的を明確化し、
その目的を実現するための条件を定めていく。
それが留学先選びに非常に有効である。

そんなことをお話しました。



今回はその次の作業。
「条件の優先順位付け」
です。




前回挙げた例をもう一度見てみましょう。



表面上の目的
★中国語を身に付けて、中国で起業したい

掘り下げた明確な目的
●商談ができる程度の中国語力をつける
●起業するための知識を身に付ける
●アパレル関係で人脈を形成する

それを実現するための条件

▲商談するためには会話力が必要。
ならば、会話練習相手の確保が必要。
確保しやすいのは同じキャンパスに日本語学科がある大学。

▲起業するための知識は先輩日本人に聞くのが一番。
起業した日本人に人脈を広げたい。
ある程度、日本人が住んでいる地域が良い。

▲アパレル業界の人脈を作るためには、
言うまでもなく、アパレル業が盛んな地域が良い。



ではここで、「実現するための条件」のうち、
2番目の「日本人に人脈を広げる」と、
3番目の「アパレル業界の人脈を作る」について、
具体的な形に落としてみましょう。



日本人との人脈作りを考えるならば、
日本人がたくさん住んでいる町が良い。
そうなるとやはり上海です。


ですが、上海にはアパレル業はありません。
いや、あるにはあります。
ですが、圧倒的集積地ではありません。



つまり、
●日本人との人脈に最適
●アパレル人脈に最適

この2つを同時に満たす場所はない、ということです。



2つの条件を両立できない。
他にもいろいろな例があります。




代表的なのが
●1クラス人数が少ない
●クラスのレベル分けが多い

この2つの条件です。

例えば1クラス人数が5人以下で、
クラスのレベル分けが10段階以上ある。
この2つの条件って両立がほとんど不可能なんです。


まず、1クラス人数が少ない大学について考えてみます。
なぜ1クラス人数が少ないのか?
それは、大学が小規模校で、
留学生の絶対数が少ないからです。

そして、ここからが問題なのですが、
留学生の絶対数が少ないがゆえに、
クラスのレベル分けも少なくなります。

結果、1クラス人数が少ない大学を選ぶと、
クラスのレベル分けも少なくなってしまいます。


逆にレベル分けが多い大学を選んだらどうなるでしょう。
なぜクラスのレベル分けが多いのか?
それは、大学が大規模校で、
留学生の絶対数が多いからです。

そして、絶対数が多いがゆえに、
1クラスの人数も自然と多くなる。

レベル分けが多い大学を選ぶと、
1クラス人数も多くなってしまうのです。



あちらを立てると、こちらが立たず。

大学を選んでいると、
こういう問題が本当に多いんです。




じゃぁ、どうすりゃ良いか?
どこかで妥協するしかないんです。
だって両立は無理なんですから。



そこで必要になってくるのが、
今回のテーマである、
「条件の優先順位付け」
です。



例えば、

●アパレルの集積地であることは絶対に譲れない
●日本人については「比較的多い」レベルまで妥協する


こうなれば、
●アパレルの集積地で、日本人が比較的多い都市
という妥協点を見出せます。

両方ベストを求めると、いつまでたっても大学を選べない。
優先順位を付けて妥協点を見出すことで、
大学選びが前へ動き出します。



1クラス人数とレベル分けの例でも、

●1クラス人数10人以下は絶対条件
●レベル数は4段階までなら妥協する

となると、一歩前へ動き出します。




まずは、目的を明確化する。
次に、それを実現させる条件を明確化する。
そして、条件に優先順位をつける。

もちろん、紙に書き出してです。
1.2.3.ってナンバーを書き入れてください。
優先順位順にです。



例えば、
1.1クラス人数が10人以下
2.日本語学科がある
3.1人部屋を確保できる
4.レベル分けが5段階以上
5.日本から直行便がある

5条件すべてが満たされればベストですが、
もしそんな大学がない場合、

まず、日本からの直行便はあきらめる。
次に、レベル分けは4段階まで妥協する。
それでもダメならば、1人部屋は諦めて、
ルームシェアタイプで妥協する。


優先順位を明確化することで、
大学選びを前にすすめることができるとともに、
もっとも重要な条件は守ることができるわけです。




もう一つ、「転校」という解決策があります。
これ、非常に有効です。



例えば、

●1クラス人数が10人以下
●現地採用の就活を考えて上海の大学

この両立は無理です。
上海で平均10人以下なんてありえません。



ですが、
就活って留学が終わる直前にするものです。
1年間通してずっと就活するわけじゃない。
ってことは、
1年間ずっと上海にいる必要はない。



そこで、

●1学期目:1クラス人数が少ない地方大学
●2学期目:上海の大学

こうやって間に転校を入れると、
かなり問題は解決できます。



他にも、例えば定年退職者の方で、

●1学期目:北京で世界遺産を堪能
●2学期目:雲南省で少数民族めぐり

なんてこともできます。



寒いの、熱いのどちらもイヤ!って方なら、

●春学期:ハルビン
●秋学期:海南島

渡り鳥みたいな留学もできますよね。笑



「転校」を使うと、
留学の可能性が一気に広がるんです。

「もし自分が転校するんだったら?」

一度考えてみてください。
けっこう楽しいですよ。



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【今週のまとめ】
1) すべての条件を満たすのは無理
2) 求める条件の優先順位をつける
3) 転校で留学の可能性が大きく広がる
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